世界日報ーースパイ防止法の制定の必要性を訴える。

菅直人総理の資金管理団体「草志会」が、「政権交代をめざす市民の会」と
いう政治団体に多額の献金をしていた問題を、テレビ朝日「ビートたけしのＴ
Ｖタックル」が７月２５日、大々的に取り上げた。

この「市民の会」は、北朝鮮による日本人拉致の実行犯と関係の深い人物が
所属する政党「市民の党」と同根であり、そうした組織に日本の首相が献金し
ていたことは重大である。

しかし、産経新聞が７月２日付１面トップで口火を切ったこの問題を、他紙
はまったく後追いしなかった。そのことの不可解さは、先月２６日のこの欄で
取り上げられた通りだ。

だが、この日のＴＶタックルは、そうしたメディアの体たらくを払拭して余
りある小気味よいものだった。それをリポートしたジャーナリスト、山際澄夫
氏の熱血ぶりに比べ、出席した塩崎恭久・元官房長官（安倍晋三政権）はクー
ルな言動。安倍氏の対北朝鮮への毅然とした姿勢を共有してほしいものだ。

番組ではまず、７月６日、自民党の石原伸晃幹事長が、この問題を衆議院で
取り上げた場面を放映。また、草志会が、２００７年から０９年にかけ、６２
５０万円もの多額のお金を献金したこと、「市民の党」から先の統一地方選で、
三鷹市から立候補したＭ氏は、日航機「よど号」乗っ取りで、北朝鮮への亡命
を果たした田宮高麿と日本人拉致容疑者・森順子の長男であることなどを次々
と報じた。

菅首相は、７日には参院予算委で、自民党の礒崎陽輔議員から献金目的を問
われ「地域政党との連携・支援のため寄付した」と、ワケの分からない説明。

また、衆院予算委で１９日、自民党の古屋圭司氏が「拉致被害家族に謝罪の
言葉を述べてほしい」と迫ったが、「わたしの与り知らぬことであり、謝ると
いうことにはならない」と突っぱねた。

参院予算委で２１日、「拉致被害家族会」事務局長の増元照明氏が「横田早
紀江さんは、『何を信じてよいか分からないね』といい、『この報道を聞き、
本当に、私たちの家族を取り戻してくれる政府と信じてよいのか。吐き気がす
るほど具合が悪くなった』と語っている」と証言。

山谷えり子議員が感想を問うと、「そういうことがあるとすれば、大変、申
し訳なかったと思う」と、初めて謝罪したシーンを紹介。番組は、「こうした
首相のもとで、拉致問題は解決に向かうのか」と結んでいた。

♪税金が拉致に流用？
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これを受け、「献金疑惑と拉致対応を徹底追及！　菅総理と北朝鮮の闇を暴
く」との触れ込みでビートたけしに紹介され、山際氏が前面に。山際氏は、
「日本の総理が北朝鮮のスパイじゃないかといわれてもおかしくないスキャン
ダルだ」と訴えた。

森順子は、石岡亨さん、松木薫さんを欧州から北朝鮮へ拉致した疑いで日本
政府から国際手配されており、山際氏は、「市民の党」と「市民の会」を創設
した人物、酒井剛氏は「カンボジアで２００万人を虐殺したポル・ポトや中国
で７５００万人を殺した毛沢東を礼賛している人物」と論評。その酒井氏と菅
氏は３０年来の付き合いで、「市民の会の機関紙には、これまで菅さんも寄稿
し、インタビューも受けており仲間である」と付け加えた。

あろうことか、鳩山由紀夫前首相も１０００万円献金しているほか、鷲尾英
一郎・拉致問題特別委理事など７人の議員も「市民の会」に献金しているとい
う。山際氏は、「民主党の政党助成金の中から菅氏に１億４９８０万円（０７
年－０９年）が渡っているが、国民の税金が拉致事件に関係する団体に使われ
ている可能性がある」とも述べた。

加えて、菅氏には１９８９年、拉致実行犯であり韓国で囚われていた在日韓
国人政治犯・辛光洙の釈放嘆願書に署名していた“前科”があり、江田五月法
相、千葉景子元法相も署名していた事実に言及。山際氏をアシストしたビート
たけしも、用意されたフリップを呼吸ぴったりに取り出し、追及のトーンは冴
え渡った。

♪「脱原発」発言で隠蔽
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最後に、「日本はスパイ防止法の制定が必要」と訴え、「最近の脱原発発言
は、こうした疑惑を国民の目から隠すためではないか」とも。硬派の問題を、
分かりやすくビジュアルに纏め上げていた。

（山本　彰）

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